星に射抜かれて

英雄“魂”展のポスター。

中国•上海で開催中の「英雄“魂”展
TAMASHII NATION × HEROES STATION」に行ってきた。

語りたいことは山のようにあるのだが、特に印象に残ったことを記しておこうと思う。

今回の記事と重複する部分が殆どなのだが、Twitterのスペースでも話したので、聞いていただけると嬉しい。

https://twitter.com/i/spaces/1ypKdkWRgMLxW(もっと上手に話したかった…)

尚、本稿もスペースも個人的に感じた事を整理しているだけなので、レポのようなものは期待しないでいただきたい。

 

 

1.観客の反応

「「「オオオ…ワアアアアー!!!!」」」

文字に起こすと少々シュールであるが…これは、ヒーローや怪獣がステージに登場する度に、聞こえた歓声である。

私は、冒頭の「オオオ…」がとても新鮮だった。察するにどよめき、感嘆といった類だったのだが、日本のショーでは殆ど耳にした事が無いものだった。

Blu-rayBOXの特典インタビューで、「ブレーザーのショーでは、お客さんの反応がヒーローというより生き物を見に来ている感じ」と田口監督が仰っていたのを思い出した。似たようなものかもしれない。

youtu.be

 

「「「加油!!」」」

日本と同じく、ヒーローがピンチに陥ると、司会(SKaRD隊員)のお姉さんの掛け声と共に応援コールが始まった。「黑格伦(アースガロン)、加油!!」「布莱泽(ブレーザー)、加油!!」

 

胸が熱くなった。正直、ちょっと泣きそうになった。

コロナ禍、こうした人の集まるイベントは数年ご無沙汰だった。殊に上海というのは、かなり厳しい封鎖や隔離が実施されていた(この経験についてはまた後日)。

久しぶりにこうした場が楽しめるという事、そして国を越えて変わらぬ熱気に包まれている事に、心が震えた。

参加できて、本当に良かった。

 

ちなみに、登場怪獣は、用心棒怪獣ブラックキング、最強獣ヘルべロス、ウルトラダークキラーの御三方。凶悪揃い踏み。

 

2.ヒルマ•ゲントに導かれ

今回は『ウルトラマンブレーザー』で主人公ヒルマ•ゲントを演じる蕨野友也さんがステージに出演された。

本人の登場は知っていたものの、目の当たりにしたとき、雰囲気が、何より自分自身がどうなってしまうのか予測できなかった(字面怖)。

 

そして、いざ本人登場。

空気が変わった。

 

蕨野さん、いやゲント隊長がステージに現れた瞬間、一気にブレーザーの世界に引き込まれた。

ショッピングモールのド真ん中、灰色の床。

SKaRD基地も、街並みもそこには無いはずなのに、確かにいつも見ている画面の向こうに居た。

一方、ブレーザーに変身する姿、2階、3階のお客さんにも丁寧に声や視線を届ける姿、どちらもあまりに自然でゲント隊長と蕨野さんの境界が曖昧になった。

蕨野さん自身や監督が仰っていた「演者とキャラクターに大きなギャップがない」、というのはこれだろうか…納得。

ヒーローショーは夢と現が混じり合う空間が心地良くあるのだが、今回そのレベルが桁違いだった。今思い出しても尚、ふわふわとした心地がする。

ブレーザーとゲントが手を引き合ったように、観客をも世界に引き込む構成、蕨野さんの力に圧倒されるばかりだった。

 

言わずもがなですが、蕨野さんはムチャクチャにカッコ良く、ハチャメチャに美しかったです。プラトンも彼を見たら満足すると思う。アナムネーシスの権化。

 

 

今、私は"満足"と表現するには足りない、久方ぶりの多幸感に満たされている。

ここのところ、精神的に苦しい時期が続いていたのだが、一気に淀が消えていった。

オタクの性、というものだろう。

二十数年追いかけ続けているのだから、そらそうである。

私にとって、特撮は血肉に等しいのだ、と改めて実感した。

 

ありがとうウルトラマン、ありがとうブレーザー、ありがとう蕨野さん。

私の生命の熱源として、時に拠り所として、これからも作品とこの思いを、大切にしていきたい。